狐の嫁入り

 

 雨が降っている。雨の日は独特のにおいがする。苔が生えるんじゃないかと思うほどジメジメしている。小さい頃、狐の嫁入りが不思議でならなかったのを覚えている。俗に言う天気雨だが、地球がおかしくなったんじゃないかと思った。

こんな具合に、子供の頃は発見やら不思議がそこら辺に転がってて飽きることがなかったように思う。コロンブスがアメリカ大陸を発見したように、ヘルツが電磁波を発見したように、僕は泥団子を磨くとツルツルになることを発見したし、言葉は絆創膏にもナイフにもなり得ることを発見した。子供にとっては、偉人の大発見と同等のものがある。

 

  今となっては往時渺茫のことで、もう忘れてしまったことが沢山ある。小学校の頃の記憶なんて断片的にしか残っていない。色んなことを学ぶ時期に自分は何をしていたのか。もしかしたら自分は、2017年現在からこの星に突如発現したのではないかとか思ったりする。

 そんな宇宙人みたいなやつにも旧友がいて、久々に話すといろいろ思い出してノスタルジックになる。古い記憶を共有できる人がいるのはいいことだ。と言ってもまあ、十年前まで小学生だった若者に分類される身としては、古い記憶と言っていいのか正直わからない。これからもっと古くなる記憶をどれほど覚えていられるだろか。

 

 つい最近狐の嫁入りを見た。昔見たそれと照らし合わせて見ても、やっぱり不思議な光景だと思った。